特別展「源氏物語 王朝のかがやき」——10/6(火)に京都で開幕、来年1月は東京へ
会期 京都 10/6(火)〜11/29(日)/東京 R9年 1/19(火)〜3/14(日)千年前の恋の物語を、絵巻と調度で歩く展覧会なの。
展覧会名は、特別展「源氏物語 王朝のかがやき」。
京都国立博物館では約50年ぶり、東京国立博物館では初めての「源氏物語展」で、巡回を含めて約250件の文化財が出る、過去最大規模の展覧会よ。
まずは、題材の『源氏物語』がどんな物語かから話させて頂戴。
『源氏物語』は、平安時代の中期に、藤原道長の娘・彰子に仕えた女房の紫式部が書いた長編の物語よ。
主人公は光源氏。
その苦悩の多い一生が、女性たちとの恋愛や、宮廷社会の栄枯盛衰の中で綴られていくの。
全五十四帖で、最後の十帖は光源氏が亡くなったあとの物語なの。
不義の子・薫を主人公にして、宇治を主な舞台にするから「宇治十帖」と呼ばれているわ。
「世界最古の長編小説」ともいわれる、日本文学史を代表する王朝物語よ。
作者の紫式部は、幼いころから文学に親しんだ素養を活かして執筆を始め、彰子に仕えながら多くの読者を獲得したようだ、と京博は解説しているの。
生涯には分からないことも多いのよ。
996年には、越前国の国守になった父・藤原為時とともに越前で1年あまりを過ごしていて、生涯でただ一度、都を離れて暮らした時期なの。
都に戻ったあと宣孝とまもなく結婚して、子を産み、『源氏物語』を書いたのね。
滋賀の石山寺には、紫式部が参籠して『源氏物語』の構想を練ったという伝承が残っているわ。
京都の廬山寺の境内は紫式部の邸宅跡と考証されていて、顕彰碑が立っているの。
ただ、紫式部の自筆本は残っていないのよ。
書き写しで伝わるうちに、本文にいくつもの系統が生まれたの。
書かれた時代のことも、少しだけ。
藤原道長は平安時代の中期に摂政・太政大臣になった人で、長女の彰子は一条天皇の中宮になって、のちの後一条天皇・後朱雀天皇になる皇子を産んだわ。
紫式部はその彰子に仕えていたのね。
『紫式部日記』の寛弘5年(1008年)11月1日に「若紫」「源氏」という記述があって、このときにはもう『源氏物語』が書かれていたことが記録の上で分かるの。
だから2008年は、記録に現れてから一千年の年だったのよ。
京都市は「源氏物語が記録に現れた日である11月1日」を「古典の日」にするよう国に提案して、2012年の法律で11月1日が「古典の日」と定められたわ。
王朝文化のきらめきは、物語そのものから絵や調度へ広がっていったの。
その代表が、国宝「源氏物語絵巻」。
『源氏物語』を描いた現存最古の作品で、縦20センチメートル余りの小さな画面に、物語の場面が描かれているわ。
12世紀前半に、白河院・鳥羽院を中心とする宮廷のサロンで作られたとみられているの。
当初は54帖すべてが絵になったはずなのに、残っているのは徳川本と五島本の13帖分、断簡を含めても20帖で、大半は失われたとみられているのよ。
顔は「引目鉤鼻(ひきめかぎはな)」で描かれ、屋根や天井を取り払って室内を見せる「吹抜屋台(ふきぬきやたい)」の手法が使われているわ。
詞書の仮名文字や料紙の装飾も見どころなの。
工芸の世界では、人物を描かずに場面を暗示するモチーフで表す「留守文様」があって、婚礼の調度に源氏物語の意匠を施すことも行われたのよ。
物語は、後の時代にも読み継がれていくの。
同じ平安時代中期の『更級日記』には、作者の菅原孝標女が『源氏物語』に夢中になった描写があるわ。
鎌倉時代以降は本文が整えられて、さまざまな注釈書が作られ、それが『源氏物語』の古典化と権威化を促したの。
藤原定家が校訂した写本「青表紙本」もその流れにあるのね。
『源氏物語』を典拠にした能〈葵上〉〈野宮〉〈夕顔〉〈源氏供養〉などは「源氏能」と呼ばれているわ。
安土桃山時代以降は源氏絵が大量に作られて、屛風や襖絵の大画面にも描かれ、婚礼や長寿を寿ぐおめでたい画題にもなったの。
江戸時代には香道の「源氏香」や浮世絵の見立てが広がって、翻案小説『偐紫田舎源氏』が大ベストセラーになったわ。
近代には松岡映丘「宇治の宮の姫君たち」(大正元年(1912))のような新しい源氏絵が生まれ、同じ1912年には、与謝野晶子の『新訳源氏物語』が出始めているの。
海の向こうでは、大英博物館に勤めていたアーサー・ウェイリーの英語訳『The Tale of Genji』(1925〜33)が出ているわ。
ここからが展覧会の中身よ。
公式の見どころは5つ。
ひとつめは、京博では約50年ぶり、東博では初の「源氏物語展」で、王朝文化の象徴『源氏物語』にかかわる美術の名品が大集結すること。
ふたつめは、現存最古の源氏絵、国宝「源氏物語絵巻」が、場面を替えて全期間出品されること。
みっつめは海外からの里帰りで、アメリカ・ハーバード美術館/アーサー・M・サックラー美術館蔵の源氏物語画帖(土佐光信筆、室町時代・永正7年(1510))は「54帖全場面揃う最古の源氏絵」なの。
よっつめは、近年注目の幻の源氏物語絵巻が多数出ること。
源氏物語絵巻(盛安本)は国内外に分けて所蔵されていて全体像が分からないため“幻の源氏物語絵巻”とも呼ばれていて、公式は「史上最大規模の源氏絵」と書いているわ。
いつつめは、京都会場は〈能〉、東京会場は〈浮世絵〉を中心にした展示もあること。
国宝「源氏物語絵巻」は、京都会場では2週間ごとに場面を替えて展示されるの。
柏木一が10/6〜18、鈴虫二が10/20〜11/1、橋姫が11/3〜15、宿木三が11/17〜29よ。
東京会場では柏木三などが出るわ。
京都会場だけの見どころもあるの。
藤原定家が関わった「定家本」の現存全5帖が史上初めて一堂に出て、5帖すべてが揃うのは11/3〜15の2週間だけよ。
復原した能装束を使った「源氏能」の舞台の再現展示もあって、〈葵上〉は前期、〈玉鬘〉は後期なの。
国宝「初音の調度」のうち宇治香箱(幸阿弥長重作、愛知・徳川美術館)も、京都会場のみ・通期の出品。
初音の調度は江戸時代・寛永16年(1639)の作なの。
ほかにも国宝「源氏物語関屋澪標図屛風」(俵屋宗達筆、京都は前期)が出るわ。
重文「源氏物語画帖」(土佐光吉・長次郎筆)は帖替があって、「若紫」は前期、「胡蝶」は後期よ。
「紫式部像」(土佐光起筆、滋賀・石山寺)は京都の前期、「車争図屛風(右隻)」(土佐光茂筆、京都・仁和寺)も京都の前期。
東京会場には「美人愛猫図」(礒田湖龍斎筆)も出るわ。
京博の章立ては、第1章 源氏物語を写す、第2章 源氏物語の作者 紫式部、第3章 国宝 源氏物語絵巻、第4章 源氏物語を深める、第5章 源氏物語でかざる、トピック 源氏物語と能、第6章 源氏物語でいろどる、第7章 源氏物語であそぶ、終章 源氏物語を描き継ぐ。
写す、深める、かざる、いろどる、あそぶ、描き継ぐ。
千年のあいだに人がこの物語とどう付き合ってきたかを、章の名前がそのまま語っているのね。
音声ガイドのナビゲーターは、大河ドラマ「光る君へ」で一条天皇を演じた俳優の塩野瑛久さんで、ナレーションは声優の早見沙織さん。
会場レンタル版は700円(税込)、アプリ版「聴く美術」は800円(税込)で、配信は2026年10/6から2027年3/14までよ。
スペシャルサポーターは、学芸員資格を持つVTuberの儒烏風亭らでんさんなの。
会場と会期を書いておくわね。
京都会場は京都国立博物館 平成知新館で、会期は2026年10/6(火)〜11/29(日)。
前期が10/6(火)〜11/1(日)、後期が11/3(火・祝)〜11/29(日)で、会期中は一部の作品でこれ以外にも展示替があるわ。
開館時間は9:00〜17:30(入館は17:00まで)で、金曜日は9:00〜20:00(入館は19:30まで)。
休館日は月曜日と10/13(火)、11/24(火)で、10/12(月・祝)と11/23(月・祝)は開館よ。
観覧料(税込)は一般 2,200円(前売・団体 2,000円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 700円(500円)で、団体は20名以上。
中学生以下は無料(要証明)、障がいのある方とその介護者1名も無料(要証明)なの。
京都の前売券は10/5(月)23:59まで。
売り場は公式オンラインチケット(ARTPASS)、オンラインチケット(etix)、楽天トラベル、ローソンチケット(Lコード53035)、セブンチケット、e+(イープラス)、チケットぴあ(Pコード687-537)、CNプレイガイド、近鉄駅営業所よ。
「古典の日(11月1日)」にちなんだ《ペア前売券》(3,800円・限定1,101セット)は完売で、「キーアニマル」トートバッグセット券と古典の日イベントチケット(11/3)も完売。
東京会場は東京国立博物館 平成館(上野公園)の特別展示室で、会期は2027年1/19(火)〜3/14(日)。
開館時間は9時30分〜17時00分(入館は閉館の30分前まで)、休館日は月曜日で、2/22(月)は開館よ。
東京の観覧料は一般 2,400円(前売 2,200円)、大学生 1,300円(前売 1,100円)、高校生 900円(前売 700円)で、中学生以下と障がい者とその介護者一名は無料。
本展のチケットで、観覧当日に限り東博のコレクション展(平常展)も見られるの。
東京の早割前売券は一般2,000円、大学生1,000円、高校生600円で、9/18(金)10時〜10/19(月)23時59分の販売、オンラインとプレイガイドのみよ。
東京の前売券は10/20(火)10時〜2027年1/18(月)23時59分。
売り場は公式オンラインチケット(ARTPASS)、オンラインチケット(etix)、アソビュー!、セブンチケット、ローソンチケット(Lコード33848)、e+(イープラス)、チケットぴあ(Pコード996-274)、CNプレイガイド、東京国立博物館 正門チケット売り場で、正門では早割の扱いは無く、前売券は10/20(火)からなの。
東京は「本展は事前予約不要です」で、混雑時は入場を待つことがあるわ。
展覧会のチケットは転売禁止よ。
京都の前売は10/5(月)まで、東京は早割が10/19(月)まで、前売が10/20(火)から。
千年前の人たちが夢中になった物語を、この秋は京都で、冬は東京で確かめてみて頂戴。