辻井伸行 日本ツアー2027《展覧会の絵》——亡き友の絵を歩いて回る組曲が、2027年1月のサントリーホールから全国へ
10/20(火) 10:00 北海道 WEB先行 他絵の展覧会を歩いて回る、その足音まで音楽にしたピアノ曲があるの。
ムソルグスキーの《展覧会の絵》よ。
この曲をメインに据えたリサイタル・ツアーが、来年1月から3月まで全国を回るわ。
正式名称は「大和証券グループ presents 辻井伸行 日本ツアー2027《展覧会の絵》」。
公式の惹句は「これぞベスト・オブ・ピアノ!世界が驚嘆する辻井伸行ならではの美しさと超絶技巧に圧倒される究極の名曲リサイタル!」よ。
公式の告知文はこうなの。
「2010年のリサイタル・ツアーで披露した「展覧会の絵」をメイン曲に、これまでの日本ツアーで高い評価を得てきたバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、リストの人気曲をずらりと並べた、まさにベスト・オブ・辻井伸行リサイタル!」
つまり、2010年のツアーで弾いた《展覧会の絵》を、もう一度メインに据え直したツアーなのね。
今回の公演の話をする前に、まずは曲そのものの話をさせて頂戴。
《展覧会の絵》は、1874年にムソルグスキーが書いたピアノのための組曲よ。
きっかけは、友人だった画家で建築家のヴィクトル・ハルトマンの死なの。
ハルトマンは1873年の夏、39歳で動脈瘤のために急死して、ムソルグスキーは深く悲しんだわ。
翌1874年の2月から3月にかけて、評論家のスターソフがサンクトペテルブルクの美術アカデミーで遺作展を開いたの。
集まった作品はおよそ400点。
ムソルグスキーはこの展覧会をもとに、1874年の6月に2〜3週間ほどで一気に曲を書き上げたとされるわ。
作品はスターソフに献呈されたの。
曲と曲の間をつなぐ「プロムナード」は、展覧会の会場を歩いて絵から絵へ移っていく足取りを描いた音楽なの。
見る人が会場を歩く足取りまで曲にした、というわけね。
曲の構成を見てみましょ。
絵を描いた10曲と「プロムナード」5曲、それに「死せる言葉による死者への呼びかけ」を合わせて全16曲よ。
曲順はこうなっているわ。
第1プロムナード/1 小人(グノーム)/第2プロムナード/2 古城/第3プロムナード/3 テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか/4 ビドロ(牛車)/第4プロムナード/5 卵の殻をつけた雛の踊り/6 サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ/第5プロムナード/7 リモージュの市場/8 カタコンベ - ローマ時代の墓、死せる言葉による死者への呼びかけ/9 鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤガー/10 キエフの大門。
原題はラテン語・イタリア語・フランス語・ポーランド語・ロシア語・イディッシュ語が混ざっているの。
「小人」のGnomusはラテン語、「古城」のIl vecchio castelloはイタリア語、「ビドロ」のBydłoはポーランド語よ。
「ビドロ」はポーランド語で「牛」のことで、ムソルグスキーはスターソフに、大きな車輪の牛車の絵だと説明したわ。
「卵の殻をつけた雛の踊り」の元は、バレエ『トリルビー』(プティパ振付、1871年ペテルブルク上演)の衣装デザインなの。
「鶏の足の上に建つ小屋」の元は、鶏の足の小屋の形をした金属の時計のデザインで、ムソルグスキーはこれを魔女バーバ・ヤガーに結びつけたのよ。
「キエフの大門」の元は、木の門に代わる石の市門の設計案で、この門は建たなかったわ。
ハルトマンの絵の多くは失われていて、曲と確実に結びつく現存作は6点(トリルビーの衣装スケッチ、ユダヤ人の肖像2点、パリのカタコンベ、バーバ・ヤガーの小屋の時計、キエフの市門案)とされているの。
1991年にはNHKが團伊玖磨の進行で特番『革命に消えた絵画・追跡・ムソルグスキー“展覧会の絵”』を放送して、モチーフになった10枚の絵を探したわ(学問的な手続きには批判もあるの)。
この曲、ムソルグスキーの生前には一度も演奏も出版もされなかったのよ。
ムソルグスキーは1881年3月28日に亡くなったわ。
ピアノ譜が出たのは1886年、リムスキー=コルサコフの校訂でベッセル社から。
リムスキー=コルサコフの手が大きく入った版だったの。
自筆譜に戻した版は、没後50年の1931年にパーヴェル・ラムの校訂で出て、自筆譜のファクシミリは1975年に公開されたわ。
ピアノの録音がリムスキー=コルサコフ版から原典版へ切り替わる境になったのは、1958年のリヒテルの録音(ソフィア・ライブ)とされているの。
《展覧会の絵》といえばオーケストラで聴いた人も多いと思うけれど、編曲の歴史も長いのよ。
最初の管弦楽編曲は、リムスキー=コルサコフの弟子トゥシュマロフによるもので、1891年にリムスキー=コルサコフの指揮で初演されたわ。
のちにヘンリー・ウッドも編曲しているの。
ラヴェルの管弦楽編曲は1922年、指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーの依頼で、その年の夏に作られたのよ。
初演は1922年10月のパリ。
ラヴェル版はクーセヴィツキーが数年間独占して演奏する約束で、楽譜が出たのは1929年、クーセヴィツキーのロシア音楽出版からなの。
「古城」にアルト・サクソフォーンを使っていて、演奏時間は約33分。
アメリカ初演は1924年11月7・8日、クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団よ。
このラヴェル版の人気で、ピアニストたちがムソルグスキーの原曲を再発見した、というのがボストン響の解説ね。
ほかにもストコフスキー(1939年)、ロックのエマーソン・レイク・アンド・パーマー(1971年)、シンセサイザーの冨田勲(1975年)、アシュケナージ(1982年)など、いろんな編曲があるわ。
冨田勲には管弦楽版もあって、これは手塚治虫の実験アニメーションのために書かれたの。
手塚がラヴェル版を使おうとしたら、ラヴェルの著作権がまだ生きていて(1998年まで)、使用料が予算を超えたからですって。
ホロヴィッツも、ピアノ版を自分で手直しして弾いたのよ。
今回のプログラムの前半も見ておきましょ。
バッハ《主よ、人の望みの喜びよ》(ヘス編)は、カンタータ第147番《心と口と行いと生活で》(BWV 147、1723年)のコラールで、曲の中の第6曲と第10曲に出てくるの。
マイラ・ヘスのピアノ独奏編曲は1926年、オックスフォード大学出版局から出たわ(ピアノ連弾版は1934年)。
モーツァルト《きらきら星変奏曲》は、正式には「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲 K.265(300e)。
元のフランスの歌の旋律は1761年に初めて現れて、変奏曲の初版は1785年にウィーンのトリチェッラから出たの。
ベートーヴェン《月光》は、ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2。
1801年に完成して1802年にウィーンのカッピ社から出版、ベートーヴェン自身の副題は「幻想曲風ソナタ(Sonata quasi una fantasia)」で、伯爵令嬢ジュリエッタ・グイチャルディに献呈されたわ。
「月光」という名前はベートーヴェンが付けたものではなくて、批評家で詩人のルートヴィヒ・レルシュタープの比喩から広まったものなの。
リスト《ハンガリー狂詩曲第2番》は1847年の作曲、1851年にピアノ独奏曲として出版、テレキ・ラースロー伯爵に献呈された、全19曲の2番目よ。
ゆっくりした「ラッサン」と速い「フリスカ」の2つの部分からできているわ。
リストはフランツ・ドップラーと管弦楽版も作っていて(ニ短調に移調)、アニメーションでもよく使われてきた曲なの。
ここからが今回の公演よ。
演奏曲目は公式の表記どおりに写すわね。
バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(ヘス編)/モーツァルト:きらきら星変奏曲/ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番≪月光≫/リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番、そして区切り線のあとにムソルグスキー:展覧会の絵。
㊟曲目・曲順等は変更になる場合がございます。
特別協賛は大和証券グループ、オフィシャル・エアラインは全日本空輸、主催・企画・制作はエイベックス・クラシックス(関東5公演)。
地方公演は各地の主催者が主催しているわ。
会場と日程を並べるわね。
2027年1/8(金) 東京 サントリーホール、18:15開場・19:00開演。
1/12(火) 神奈川 鎌倉芸術館 大ホール、13:15・14:00。
1/14(木) 香川 シアターマド(丸亀市民会館)大ホール、17:45・18:30。
1/16(土) 山口 シンフォニア岩国(山口県民文化ホールいわくに)コンサートホール、13:15・14:00(公式で「SOLD OUT」)。
1/19(火) 東京 サントリーホール、18:15・19:00。
1/22(金) 宮城 東京エレクトロンホール宮城、17:45・18:30(仙台放送開局65周年記念)。
1/24(日) 山形 やまぎん県民ホール 大ホール、13:15・14:00(さくらんぼテレビ開局30周年記念)。
1/29(金) 福岡 福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)、18:15・19:00。
2/2(火) 東京 サントリーホール、13:15・14:00。
2/20(土) 静岡 富士市文化会館 ロゼシアター 大ホール、14:15・15:00。
2/24(水) 愛知 愛知県芸術劇場 コンサートホール、18:00・18:45。
2/27(土) 兵庫 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、13:15・14:00(発売日・料金は「調整中」)。
3/2(火) 群馬 高崎芸術劇場 大劇場、18:00・19:00。
3/13(土) 大阪 ザ・シンフォニーホール、13:00・14:00(発売日・料金は「調整中」)。
3/26(金) 北海道 苫小牧市民文化ホール「ART CUBES」グランドホール、17:45・18:30。
3/28(日) 北海道 札幌コンサートホール Kitara 大ホール、12:15・13:00。
公式は「本ツアーは上記以外にも 山梨 で公演を予定しております。」と書いているわ(日程・会場は未発表)。
今週の発売と受付を、会場ごとに並べるわね。
北海道(苫小牧・札幌)は、WEB先行が10/20(火)10:00〜10/27(火)23:59で、受付先はチケットぴあ。
「※お席はお選びいただけます。」ですって。
㊟予約期間中でも予定数に達した場合は受付を終了させていただきます。
愛知は、Chuチケ特別先行予約が10/22(木)23:59まで(TEL受付は10/22 17:00まで)で、一般発売は2026年10月23日(金)11:00よ。
山形は、一般発売が10月23日(金)10:00〜で、受付先はチケットぴあ(Pコード:338-364)・ローソンチケット(Lコード:22574)・イープラス・やまぎん県民ホール チケットデスク。
みんぐるメンバーズ先行とプレイガイド先行(抽選)は10/18(日)23:59までなの。
宮城は、仙台放送主催者先行(イープラス)が10/19(月)11:00までで、一般販売は2026年10月23日(金)10:00、受付先はイープラス・河北チケットセンター・東京エレクトロンホール宮城よ。
㊟仙台放送主催者先行は無くなり次第終了よ。
香川は、一般発売が10月24日(土)9:00〜で、シアターマドの電話・WEBから。
「※各種プレイガイドは、10月24日(土)10:00~発売開始」で、窓口は残席がある場合のみ10月25日(日)9:00〜なの。
参考までに、東京・神奈川・群馬・福岡の一般発売は10月31日(土)、北海道の一般発売は10月30日(金)、静岡は11月7日(土)よ。
㊟先行は受付ごとに条件があるから、申し込む前に確かめてね。
料金は会場ごとに違うから、会場ごとに書くわね(全席指定・税込)。
東京(サントリーホール)はS 10,000円/A 8,000円/B 6,000円/U25 3,000円。
神奈川・群馬はS 9,000円/A 7,500円/B 6,000円/U25 3,000円。
香川はS 8,500円/A 6,500円/注釈付S 8,500円/U-25 4,000円(S席・A席共通料金)。
山口はS 8,500円/A 7,500円。
宮城はS 8,800円/A 7,700円/B 6,600円。
山形はS 8,500円/A 7,500円/B 6,500円/U-20 3,000円。
福岡はS 8,500円/A 7,500円/B 6,500円。
静岡はS 8,500円/A 7,500円。
愛知はS 9,000円/A 7,500円/B 6,000円。
苫小牧はS 8,500円/A 7,500円で、札幌はS 8,500円/A 7,500円/B 6,500円、車椅子席は8,500円(苫小牧は道新プレイガイド、札幌はKitaraチケットセンターの扱い)よ。
亡き友の絵を歩いて回る組曲、今週は北海道・愛知・山形・宮城・香川が申し込みできるわよ。